やまび子のブログ

冴えない男子の禁書目録

夜凪景に狂わさせる俺。狂うことのない夜凪景。

「アクタージュ」を読みました。

 

エグい。

 

先に謝っときますけど、まだ読んで1時間ぐらいしか経ってないし、読んだ後眠れなくなっちゃって深夜の3時にこれを書いてます。

ニワカの'n'にも満たないニワニワカ。

だからまだ読んでない貴方に読んで欲しいし、もしもう読んでいる人は俺の初心さを見て、最初に読んだときの興奮を思い出してくれればと思う。

 

 

あらすじ

主人公の夜凪景(よなぎけい)。家が貧乏。両親共に無し。弟妹二人。演技がクソ上手い。すぐ泣けるし、すぐ汗かける。脱水症状になりそう......

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もう言葉はいらないですよね。この美形。

「強キャラ」感がヤバいですよね。主人公だし。

 

最初は弟妹の給食費諸々を稼ぐために女優になることを目指します。イイコ.......

 

で、この子の得意技が「めっちゃリアルな演技」。どれくらいリアルかって言うと、

 

 

先生「宿題集めるぞー」

夜凪「はいどうぞ」

先生「はいおっけー」

友達「やってないじゃん.......」

 

軽く言うとこんな感じ。演技がリアルすぎて、本当の事のように赤の他人ですら錯覚する。

 

夜凪景はそれを過去の感情を思い出すことで表現します。「メソッド演技」という単語として作中にはよく出てきます。カッケェ........

 

ホントは他にも紹介したいキャラが7、8人いるんですけど今日はカット。夜凪さんのこと書くだけで夜が明けそうなので。

 

で、この「メソッド演技」を極めすぎたせいで、一度ある感情を演技するとその感情が残っちゃうんですよね。だから悲しい演技をした後には映画を見て笑顔や幸せの感情を自分に入れるんです。

 

.........でもそれだけ聞くと「感情ないロボット系女じゃん?」と思うかもしれません。

 

 

全然違います。全然。全く。

 

 

それはなぜか。彼女が感情を上書きするのは感情がないからではなく、感情に深く入り込むから。

夜凪景は演技の感情ですら本物の気持ちとして演技するから日常生活では上書きする必要がある。

みなさんが悲しい思いをしたとき、立ち直ろうとするために笑えることや、楽しいすることをするのと一緒です。

 

つまり「もともとあった記憶から呼び起こされる感情」をその時のまま、またはその時以上の気持ちとして表すことができるんです。

悲しい演技をする時は毎回母親が死ぬ。そんな思い出したくもない様な感情をコントロールする。思い出すの域を超えて体験できる。

 

また、こんなシーンがありました。時代劇で町の一般市民役をやることになった夜凪景は、子供が武士に斬られるところに自ら飛び出し、庇いにいきます。もちろん台本にはありません。

 

夜凪景は

「町の人なら飛び出して行くに違いない」

と思って庇ったのではありません。

「助けなきゃ」

と思って飛び出したのです。

 

台本にないことをするから監督はもちろんカンカン。で、夜凪景には「見殺しにする役だから」と伝えます。すると、

 

悲しみと憎しみが合わさったような表情をしながら拳を握り締めました。手から血が滴るほど。

 

もう普通じゃないって分かりますよね。

 

でもこんな調子だから他の現場でも役者と監督は困るし怒るしでたーっくさん苦労することになります。

それに夜凪景自身も思い出したくないことを思い出したりして心と身体が限界を迎えそうにもなります。

 

でもどんなに辛いことを演技に込めても、狂うことのない心の強さが夜凪景にはあるんです。

 

 

「呑まれるな 利用しろ 私は役者だ」

 

 

他人の顔色を伺ったりしない。演技を少しでも良くするためにやれることはやる。

感情に身を任せ、挑戦することに物怖じしない勇気とその激情に決して飲まれることのない人間としての芯がある。

加えて喜怒哀楽などでは到底表せない様々な感情表現ができる。同じ人間であるなど信じられない。まさに「人が変わったような」演技ができる。

 

それが「夜凪景」という役者の魅力です。

 

長くなりましたがこんな(才能)で段々と様々な役者や職種の人に気を惹かれるようになっていき、夜凪景の周りの人々もどんどんと変わっていきます。成長する人やそうでない人も。

 

しかし、ある時夜凪景はこんな壁にぶつかります。

 

 

自分の知らない感情、想像上の人やモノを演じるにはどうすればいいのか?

 

 

 

先程は時代劇の町民を演じていましたが、もしその役が、作者がすでに死んでいる小説の登場人物のすでに死んでいる男性なら?誰も見たことのない神話に出てくる神様だったら?

 

そんな難題に夜凪景にも劣ることのない才能の役者や脚本家、監督が常人では思いつかないアイデアとセンスで皆さんの期待を地球100周くらい上回ってきます。

 

どれくらい凄いのかというと夜凪景の演技によって「漫画の中で自分が観客になっている錯覚を起こすぐらい」です。この意味が皆さんならもう分かりますよね。

もう自分が漫画作品の感想を描いている事なんて忘れてしまっていました。

 

僕らの現実まで変えてくる夜凪景の演技、貴方の五感全てで感じて欲しい。

 

そして貴方が我に帰ったら思って欲しい「ああ、なんで自分たちの世界に彼女はいないんだろう」とね。